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2012/01/13(金)
みとどけびと 第壱話 真夏に咲いた秋桜(あきざくら)
『この世ならざるモノ』の存在を眼にすることができる、特別な力を有した少年・東雲幸多(しののめこうた)。人の世にあって人と異なる存在と交わることの出来る力。人に気味悪がれ人外に目を付けられる不毛な力。それゆえ幸多は、いつからか人・人外、共にどちらにも属することのない、ただ《見届ける》だけの存在として自己を確立していった。幸多は見届ける。生きている者の姿とその喜怒哀楽を。逝き残ってしまった者の存在とその未練妄執を。幸多は見届け、そして刻んでいく。彼女たちが生きて逝った証を。───自分が、生きて居る証を。★第一話目のあらすじ「……ウルサイぞ、人の子が!朕を誰だと心得る!」蝉時雨が耳に張り付くような猛暑。今日も今日とてブラブラと暇を持てあましていた東雲幸多は、一人の少女に出会う。場違いなほど雅やかな立ち居姿に、反して幼く攻撃的なその少女は、自らを『秋桜』───桜の精霊だと幸多に名乗る。ゆえあってある老人に、恩返しがしたい、自分の存在に気が付いてもらいたい……。そう言って人外の少女は、今日も老人に逢いにいく。決して人の目に映らぬ、人ならざる姿のままで。そのあまりに無謀な試みに興味を惹かれた幸多は、暇つぶし半分、少女の逝く末を見届けることを始めるのだった。
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